白い花は、福来みかんです。温州みかんが一般的になる前は、茨城県でみかんといえば、この福来みかんを指す時代もあったようです。厳密には温州みかんとは異なり、柑橘類の中で唯一の日本原産のミカン科の植物“橘(タチバナ)”の一種だと考えられており、常陸風土記にも橘の記載があるほど、古くから自生していたようです。
実は直径3センチほどで、指先に乗ってしまうほどの可愛らしい大きさです。小さいながらに、中身はいくつもの房が並んでいます。酸味も甘みもあってバランスの良い爽やかな味わいです。
皮は鮮やかな黄色、皮をむくとはじけるような香り。この皮の香りの高さから、七味唐辛子の材料のひとつ、チンピとして使われてきました。 筑波山の周辺でたくさん栽培されていて、山麓周辺のどの土産物店にも七味唐辛子が並んでいます。肉は甘みがあることはもちろん、キリッとした酸味があるこの福来みかん、秋にはたくさんの実がなることを願っています。